木の上で、宙ぶらりんって、私なにか悪いことしましたか?
それも普通の服ならともかく、私ウェディングドレス着てるんですけど!!
今から結婚式なんですが!
そもそもなんでこうなったんだ!?
現状すら理解していない私に、誰か親切な人が教えてくれるなんていうことはなかった。
当たり前だけど、木の上で一人ぼっちでぶら下がってます。
今日はいい天気ですよ。
木々の緑が眩しいぐらい。
でもね、ぶら下がり日和ではないのよ!
私の握力ではいったいどれだけ持つんだろうか。
どの木も細くていつぽっきり折れてしまうのか不安です。
花嫁殺人事件とかいう、火曜サスペンスのような状況には維持でもなりたくないです。
ってか、今、火曜サスペンスなんてあってる?
…………人間こうやって年を重ねていくものなんだね。
今の若い子は宇宙人のような言葉しか喋らないし。意味通じません!!
彼氏〜って語尾を上げるな!!!(もう意味不明です)


2.着地


「んあ?」
視界の端に白いものがちらっと見えて、試合をしていた切原は思わず、追っているボールから目を離した。
その結果、見事ボールは体の横をすり抜けていく。
「赤也!!!!!」
その様子を見ていた真田は、切原のところへ『たるんどる!』と声を上げながら近づいていく。
「ちょ、ちょ、真田副部長!!あ、あれ!」
殴られてはたまらないとばかりに、切原は自分の視界に入った白いものを慌てて指差した。
「何だ?」
訝しげに振り返る真田の視線に、真っ白な布が見えた。
「む? なんだ。あれは」
木々の間から、不自然に垂れ下がっている白い布。
「さっきまではなかったと思うッス」
「ああ、確かにさっきまではなかったはずだ」
横から柳が口を挟んできた。
「そうッスよね。それが急に視界に見えたからちょっと変だなぁって」
「ばかもん!!!試合中に余所見をする方がたるんどるんだ!」
言い訳をはじめた切原に、真田は今にも手を上げそうな勢いで怒鳴る。
「いや、でも」
「まぁ、まぁ、俺らも気になるし、見てきてもいいんじゃねぇ?」
丸井が助け舟とばかりにのんきな口調で言い出した。
切原と真田が言い争ううちに、レギュラーのみんなが自然と集まってくる。
「そうですね。私もなにやら気になりますし」
眼鏡をクイッとあげながら柳生はもっと見ようと目を凝らす。
「人…………じゃないのかのぉ?」
のんきに口をはさむのは銀髪の仁王。
「まさか、あの白い大きい布が服だというのか?」
「遠くからだからよく見えないけど、ひらひらのレースっぽいものも見えないか?」
「スカートだというのか?」
「まさか、こっちから見たってかなり大きな布ッスよ?」
口々に言いたいことを言い出すレギュラー陣。
しかしここからではどんなに彼らが話し合っても答えが出ない。
だったらと部長である幸村が口を挟んだ。
「行ってみれば分かるんじゃないのかな。あそこへ」
幸村の言葉に、みんなが興味深く頷いた。
白い布が、みんなを歓迎するかのようにパタパタとはためいた。




「やばい…………。そろそろ腕の力が限界にきそうだ」
木にぶら下がって、かなりの時間が経ったような気がするんだけど。
実際は10分も経っていないかも。
だが腕がしびれてきているのは事実だ。
さっきゆっくり顔を動かして、高さを確認したけど、絶対に無理な高さだった。
この体制だったら受身なんて絶対に無理。
腰の骨が折れる。
腰ぐらいだったらまだましかもしれないけど。
こんな姿で病院に運ばれたくない!
それよりも結婚式どうなってるんだろ?
花嫁が逃げ出したなんて、絶対に慰謝料問題になっちゃうよなぁ。
面倒だな。
逃げる気がなくていなくなった場合って、慰謝料って払わなくてもいいよね?
ってか、払う義務はないはずだ!
しかし本当にどうするよ?


と、急にぐいっと下に引っ張られた。
「あ?」
木につかまっていた両手が、するりとはずれた。
ふわっと体が宙にうく。
「ばか!急に引っ張るな。赤也!!」
慌てたような声が聞こえた。
まぁ、でも私の落下は止められないよ?



悶々と考えているうちに、誰かが私に気がついたらしく近づいてきたらしい。
有難いことに見つかりましたよ。
だけどね。一番されたくない最悪なことされちゃいましたよ。
地面に激突の予感です。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
29歳でも乙女の悲鳴を上げるのですよ。
このウエディングドレス、レンタルで超高かったのよ!!!!!!
汚れたらやばい!!!!
考えることは乙女じゃなく、限りなくおばちゃんに近いのは仕方がないよね。うん。


ドスンッ!!


訪れるであろう衝撃に、覚悟を決めてぎゅっと目をつぶったのだけれど。
妙にがっしりとしたものにぶつかって、あまり衝撃を受けなかった。
なんだ?
恐る恐る自分が降りたところに目を向けると。
一人の男の人の上に落ちていた。
そう、つまり下敷きにしていたのだ。
だからあまり衝撃を受けなかったんだ…………。
彼は私につぶされて、うつ伏せになって倒れていた。
…………不可抗力というやつですよね?
慰謝料なんて払えませんよ?
冷や汗をかく私の横で、近くにいた人たちが、口々に慌てたように生存の確認をしていた。
「真田副部長!?」
「大丈夫ですか。真田君!!」
「真田!!」
…………有難う。
君の命は無駄にしないよ。
とりあえず無事に木から降りられました。
めでたし。めでたし。
とは、いかないけれど…………ね。

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☆あとがき
すみません。まだ名前変換の意味がなく…………。
どうも久々に書く小説に戸惑いを隠せません。
あれ?私の書き方ってこうだったけ?
主人公の喋り方も統一していないような気がしますしね。
精進、精進ですかね。
立海が微妙にでておりますが、微妙ですよねぇ…………○| ̄|_
次回は名前変換が微妙にされますよ!!<え?微妙?
2008.6.16