「聞いてよ!!私真剣に言ったのに、この子ったら、大笑いするのよ!!」
友人である美香が、私に何かを訴える。
「朝から何喧嘩してんのよ。何? 何が原因?」
「立海のマネージャーになりたいって言ったら、大笑いするの!」
「立海? ってテニスの?」
「そうそう!!」
美香の高速頷きに、私も乾いた笑みを浮かべる。
「そりゃ、漫画の世界だろ。なってどうするのよ?」
「そりゃ、パラダイス!!美形パラダイスに囲まれて、うはうは言いながらマネージャーをするのよ!」
「仕事行く前に、また顔洗ってきたら?」
「ちょっと!!までそういうこと言うわけ?」
友人に力いっぱいなじられました。
その友人に報告してみたいです。
立海テニス部のマネージャーになりました。
きっと力いっぱい羨ましがられるね。間違いない!!
というか、私まったく望んでませんけど。こんな状態。
19.マネージャーたるものは
うはうはどころか。
泣きそうなんですけどね。この状態。
昨日の今日で、部活にでなかったら、きっと後が怖いと急いで朝練にでたわけですよ。
笑顔で迎えてくれた幸村が超怖かった。
「忍足に看病してもらった? 今日からちゃんとマネージャーとして働いてもらうからね」
ちゃんとって何よ?
誰にマネージャーの仕事教えてもらうのよ?
私の心の叫びが聞こえたのだろうか、魔王もとい、幸村はにっこり笑ったまま呼んだ。
彼の名を。
「ジャッカル」
「俺かよ!」
瞬時に、叫んだジャッカル。
揉め事、面倒ごと担当か。
「使えるようにしてやってね」
使えるようって……………。
そして幸村は風のように去っていった。テニス部のみんなをつれて。
ジャッカルと私はテニス部の部室前に置いてけぼりにされてしまった。
「……………えっとさ」
とりあえず困ったように私の前に固まってしまったジャッカルに昨日のお礼と共に、私の最大限の感謝の気持ちとして抱きついてみる。
「え!!うわぁ。って、ちょ……!?」
「立海のお父さん!!このままを見守っていてね」
「は!? いや、意味わかんねーし。ちょ、!!」
無理やりべりっと引き離された。
ちょっと残念。
まぁ、朝練だと見学者がいないからこんな大胆なことやれるんだけど。
なんかジャッカルからかったら、すっごく面白いんだけどなぁ。
幸村と席をかわってあげたようだから、お礼にたくさんからかってやろうと計画中。
助けてくれたのは有難かったけど、それはそれ。
これはこれだよね。うん。
「ねぇ、ジャッカル。聞きたいんだけどさ」
「何だ?」
「マネージャーっ大変?」
「あ、ああ。まぁ、そこそこに」
あいまいなお返事をしてくれちゃってまぁ。
人事かよ。それとも……………。
「スコアもつけないといけないのよね?」
「ああ、それは大丈夫だ。後輩たちがやるからな。普段はつけなくても大丈夫だ。
ちょっとした練習試合とかなると誰も手が空かないからしてもらうかもしれないが。」
「じゃぁ、何するの?」
「洗濯やドリンク作りが主。ほら、一応代えのユニフォームは用意してるんだけど、練習量が半端じゃないから追い付かないんだよ。
だから洗濯してもらって、タオルとかもさ、それにドリンクもいるだろ?な?」
……………。
メンドクサイ。
心の声が顔にでていたのか、ジャッカルは微妙な顔で私を見る。
「何?」
「いや、いままでいろんな女を見てきたけど、いままで見たことないようなタイプだよな。って。
幸村に何度怖い目にあってもたてつくし、俺たちテニス部相手に女を作らないし」
「だって、あんたたち相手に女作ってどうすんのよ? 恋愛対象として見てるんじゃないんだから」
「それだよ。それ。俺たちの誰でもいいから彼女になりたいって顔してすりよってくるんだよな」
「まー、顔だけはいいからね。あんたたち」
それは認めよう。
見た目が良いから、ついころっていくお嬢さん方の気持ちは分からないでもない。
私の友人も君らが大好きで、もし現実にいたら一度はお付き合い願いたいと思っていたようだしね。
立海も好きだけど、氷帝もなんて叫んでいた。
もし万が一、忍足フリークな友人に私が目くらましのつもりでも忍足とお付き合いすることになったなんて知れたら。
絶対に血の雨を見るね。
絞め殺されても、文句は言うし逃げるけど、首は絞められる可能性大だ。
私は面倒だけど、きっと毎日言われもしないのに忍足のためにご飯をせっせと作るだろうな。
昨日ご飯作った後、マッサージまでさせられたし!!!
なんだか急にむかついてきた。
忍足なんだかいい下僕が見つかった的な気分になってない?
一人でムカムカしてたら、思わず右パンチを架空の忍足に向かってやったら、ものすごい音と共に、目の前にいたジャッカルがぶっ倒れた。
あ……れ?
何で忍足じゃなくて、ジャッカルが?
「ちょっと、あんたも私のパンチぐらい避けなさいよ!!ちょっと、ジャッカル?」
ぐったりしたジャッカルを揺らしまくって、声をかけたのだが返事がない。
あらら?
「おーい、ジャッカル君?」
ぺちぺち頬を叩いてみたけれど、ちょっとうなったような声をだしたままそのまま意識不明。
あれれ?
今日の初日のマネージャーのお仕事は、ジャッカル桑原の面倒を見ることに決定したようです。
って、重っ!!!!
足を持って引っ張っていくか。
それとも首を持って引っ張るか。
しばらく放置して考えているところを幸村に見つかるのはこれから10分後……………。
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☆コメント
こんなに短い文章に数ヶ月の月日を費やしました。
なんということでしょう(苦笑)
マネージャーの仕事すらしてないし。
この物語壮大な内容なんですよ。うん。
もっとこうね。
恋せよ乙女的なものもあるんです。
このままジャッカルと二人楽しくなんてことにならなきゃいいけど。
2009.12.15