これは何の悪戯ですか?
正直、トリップしたのも冗談だと思ったよ。
テニスの王子様にトリップなんて、最高に笑えるジョークだよねって。
でも現実は現実です。
前を見て生きましょうって、信じられないことばかり突きつけてくる。
だ〜か〜ら、私の現実は結婚式なんだよ。
結婚して人妻になる予定だったんだよね。
何この現実?
12歳もサバよんで、コスプレして高校生たるものをやるなんて。
ねぇ、12歳のサバよみ大丈夫?
制服似合ってる?(それが一番問題だ)
17歳に見えるの?本当に。
10.そこは地獄の一丁目?
冷や汗タラタラです。
もうなんていうか、この現実どうよ!?
って今すぐ叫びだしたいぐらい。
転校生の紹介と先生に教壇前に連れて行かれて見た現実。
何で目の前に一番会いたくなかったベスト1の人がいるのでしょうか。
こっち見て、かなりにこにこしている姿が怖い。
今すぐに帰りたい。
帰るのが無理なら倒れたい。
それくらい逃げ出したい人が座っているのです。
幸村精市。
何故君と同じクラス?
それに真田弦一郎もいるのが見えますよ。
あのつんつるで、ピカッとした頭も見えるけど、それって。
ジャッカル桑原か?
何だこの無用なパラダイスは。
誰も頼んでないよ。
チェンジはできないの?
仁王がいるよりはましかもしれない。
でもそれでもこのありえない状況は納得いかない。
何で誰もこれがおかしいとか思わないわけ!?
幸村に真田にジャッカルだよ!(意味のないいちゃもんをつける)
ビジュアル的にもおかしいよ!!(いちゃもんを続けてみる)
ジャッカルはもちろん私を覚えているようで、幸村を見ながら苦笑いしている。
多分、長い付き合いで幸村の考えていることが分かっているのだろう。
真田はなんだか私を覚えているのかいないのか分からないほど、普通の顔している。
本当に普通に普通。
誰もが真田のようだったら良かったのにと、思ってみてもどうしようもない。
それにあのテニス部にいる時点で、真田も一緒なのだから。
あの中に居続けられる真田も変だということか。
本当に、私このクラスに転入なのか…………先行き不安だな。本当に。
「ではの席は、そこのジャッカル桑原」
「はい」
ジャッカルが立ち上がった。
「桑原の隣だ」
ジャッカルかよ!!!!
心の中で精一杯叫んだのは言うまでもないだろう。
幸村の席の隣になるのを考えたら安全なところだろうけど、でもテニス部の隣じゃなくてもいい気がするよ。
仕方なく、ジャッカルの隣に移動する。
挨拶も可もなく不可もなくという、適当なもの。
だってジャッカルだし(失礼すぎる)
そういえば、テニス部メンバーが気になってクラスメイトの反応をまったく見なかったんだけど。
私は普通の転校生と思われているよね?
老けてるなぁとか密かに思われているとかそんなことないよね?
ねぇ、ジャッカル!
キッと隣のジャッカルをにらみつけるように見ると、ビクッとおびえた様にこっちを見たのは気のせいということにしてあげるわよ。
それってただ怖いだけで、老けた女のコスプレが見苦しいとかいうものじゃないって信じているから!
だよね。ジャッカル!
…………ジャッカルが何故か私と目を合わせようとせずに、そらしているのは何故だ?
でもあまりテニス部に関わるのはやめよう。
むしろできるだけ離れる様にしよう。
だがそんな決意も、ホームルーム後にはじまった授業中に吹っ飛んでしまった。
数学は苦手だ。
そこそこは分かるけど、でももう学生生活から離れて随分たつから仕方ないよね。
あれ?このXは何でここに入るわけ?
ちょっと、ジャッカル教えなさいよ!
クルッとジャッカルの方を向いたが、私の口はそのままあんぐりと開かれた。
何で。
どうしてあなた様がここに?
いつからそちらに移動なされたのですか?
ジャッカルがいた場所には、にっこり笑った幸村が平然と座っていたのだった。
「はぁ?」
私の声が教室中いや、多分廊下にも響いたのは間違いない。
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☆コメント
お待たせしましたよね?
シリアスばかりにかまけて、こっち更新するのが遅くなりましたが。
短いながらも更新です。
クラスメイトが結構悩みましたが、こんな結果に。
ジャッカルは素敵なポジションにいるので、これからも大いに役立ってくれそうです(笑)
2008.11.4